今後の「円安」リスク
トルコの人達は、最近のトルコリラ暴落を受けて、外貨預金をせっせと進めているようです。なぜなら、トルコリラへの「信用」が下がっているからです。既に下がっている状態で、さらに外貨預金をしようと考えるということは、まだ下がるかもしれないという不安があるのでしょう。
他方で、日本では「円高」というと、あまり良いイメージはありません。なぜなら、日本企業が外国に製品を輸出するときに、高くて買ってもらえず、輸出企業の不振が日経平均に影響するため、景気が悪くなると考えられているためです。もっとも、円高になれば、外国から材料を安く仕入れることができるので、日本で製造する分には、原料コストが安くなって良いという側面もあるため、円高が悪いと即断してしまうのはどうかと思っています。
むしろ、日本の本当のリスクは「円安」ではないかと思っています。日本には資源がほとんどありませんので、石油であったり、工業製品の材料であったり、石油だったりを輸入に頼っています。なので、円安になってしまうと、それらを高値で買わないといけないため、苦しくなります。
そして、今は円高ですが、日本は少子高齢化に向かっていますし、来年には消費増税を控え、さらに財政についても赤字国債を発行し、将来へのツケを回しながら運営していることから、将来的には「円安」になるのではないかと思っています。
「円安」になると、通貨の価値が下がるわけですから、例えば食べ物を輸入するにしても、仕入れ値が高くなります。食費もかさむことでしょう。今、日銀はインフレに誘導するために量的緩和を継続していますが、将来的には勝手にインフレになるのではないかと思っています。
インフレになると、お金を円で持っているだけで、価値が下がります。日本では、戦前に今の100万円程度の価値があった100円が、戦後、まさしく100円の価値になりました。戦前、100万円の価値のあった100円で、何か価値のある「金」のようなものでも買って持っていたら良かったということになりますが。
今、多くの日本人がタンス預金をしていますが、持っているだけで、その価値が下がるというのは悲しいことです。なので、日本円での預金のいくらかは、ドル等の外貨預金に回してもいいのではないでしょうか。
ただし、銀行の外貨預金は預金保護(ペイオフ)されないというリスクがあります。したがって、外貨預金は、証券口座に移しておくのが良いと思っています。証券会社には、お客さんから預かったお金と会社のお金を分離して管理する分別管理制度が義務付けられているためです。ただし、証券口座には金利がつかないので、そうしたデメリットは飲まなければいけませんが。