けんちょむの生活記録

とりあえずこのまま何となく生きていくことの重みに耐えられずに廃人になってしまいそうなので、何か書かして下さい。

クナイプという入浴剤

 クナイプという入浴剤を買ってから、風呂に入るのがちょっとだけ楽しみになりました。少なくとも、今まで「作業」として半ば義務的にシャワーを浴びていた30歳男の習慣に、ちょっとした変化がもたらされました。

 私は単身ですから、湯船にお湯をはるというのは、考えてみればかなりの贅沢です。菩提樹の香りで満たされた風呂に肩まで浸かり、1分ほど無心になった後、それら全てを排水溝に流すという。

 それで得られるは、小さな満足。とはいえ、そういった小さな満足で、日々を満たしていきたいと思っています。どうせあと何十年かすれば、老いさらばえて死ぬだけです。どうせ死ぬのであれば、毎日ちょっとした贅沢をして、満足な記憶で人生彩っていきたいなと。

秋の日

 秋の透明感がたまらなく好きです。

 夏場、あちこちに蟠踞していた「水っぽさ」が消え、全てが乾燥していく季節。早朝の起き抜けに、鼻の穴が乾く季節。ちょっと寒くなってきたかな、なんて思う。長袖を着たほうがいいのか、ちょっと迷う。鳥肌が立ちます。

 光が「水っぽさ」によって屈折することなく、真っすぐに地上に降り注ぐ感じ。太陽の光は、地上に届くまでに触れ合う空気の量によって、その色合いを変えます。夏は真上から太陽が、秋は斜めに太陽の光が降り注ぎますが、後者の光はどこか優しい。空気が乾燥しているので、曖昧さもない。光と影の明確な輪郭。ダリの絵画のような幻想的な風景が、この日本の片田舎に、ふと現出します。

 今日は、そんな日でした。美しいものに囲まれているという実感。

最近のポジションについて

 2週間前に、米国の金利上昇を伝えるニュースを見て、米国株が下げ始めました。私が当時保有していた米国株は、ハイテク株を中心として1500万円分程度、日本株については700万程度でしたが、15万円ほど損失が出ていたので、思い切って全て現金化しました。

 現在、2300万全てをキャッシュで保有しています。9月の株式運用成績としてはプラス80万円で、今月についてはマイナス15万ということになりますが、今月の相場は値動きが激しく、しっかりと対応できる気がしないので、ほとぼりが冷めるまで欲をかくことなく静観したいと考えています。

 よく、一貫した戦略をもって、株式は長期保有したほうがいいという意見もありますが、個人的には、長期保有した場合が良いこともあるし、悪い場合もあると思っています。あまり考えにくいですが、例えばここから株式市場が暴落し、また今の水準に回復するまで10年かかりますよというのであれば、どうするのが得策だと皆さんは考えられますか。

 おそらくそれは、いろんな人の事情によると思うのですよ。既に金をいっぱい持っていて、余剰資金もあって、なんていう場合、10年くらい塩漬けにしといてもいいかもしれませんが、もともとの元本も少なく、生活もそんなに余裕がないとなると、長期保有が正解だとは思えないんですよね。

 あくまでそれは、人の数だけ事情があるわけですから、誰かの考え方、長期保有が正しいとか、今は絶対売るべきではないとか、それは自分の状態をしっかりと見極めながら決めていけばいいのだと思います。

土曜日の過ごし方について

www.youtube.com

 皆さんいかがおすごしでしょうか?

 私はこの1週間、仕事で疲れてしまいましたので、土曜日の午後は海へ行ったり、お祭りへ行ったりしました。

 動画という表現は、また文章とは違っておもしろいですね。最近では編集ツールも使いやすくなっているので、字幕を充実させれば、それなりに抒情的な表現も可能です。

 とりあえず、下手の横好きで作ってみましたので、ご覧ください。

株の運用状況

 現在、2000万円を米国株及び日本株で運用しています。余裕資金は数100万。約9割が米国株で、残りの1割が日本株

 銘柄は、米国株でアップル、アマゾン、コカ・コーラ、アルトリア、マイクロソフトマクドナルドに、いくつかのETFです。日本株は、SBIホールディングス、楽天、そしてチャームケアです。

 9割方の銘柄がプラスなのですが、数十万の含み益が出ている程度です。自分のトレードスタイルを模索している最中ですが、株というのは売り時の判断が難しいですね。

映画「トニー滝谷」の感想

www.youtube.com

 

 トニー滝谷の本当の名前は、本当にトニー滝谷だった。 

 印象的な小説の冒頭部分です。市川準監督の「トニー滝谷」を観ました。原作の村上春樹作品の醸し出す何とも言えない読後感を、映画で表現できるのかという感じでしたが、実にいい線をいっている映画だと思います。それとは別に、宮沢りえが可愛すぎるというのと、イッセー尾形がいい味を出していて、さらに坂本龍一の音楽が映画全体の基調を構成している、完成度の高い映画だと感じました。 

 あらすじは、とても簡単です。滝谷省三郎という、戦時中に大陸でトロンボーン奏者として生きてきた男にできた息子が主人公、トニー滝谷でした。母親は、トニーを出産後に、すぐに亡くなってしまいます。なぜ彼は、日本人なのに「トニー」なのでしょうか。それは、省三郎が戦後世話になった米軍少佐に、そう名付けるように勧められたからでした。これからは米国の時代になるだろうということで。省三郎は「悪くない」と思いました。

 トニー滝谷は、孤独な幼少期を過ごしました。その名前のせいもあったし、親父はずっと仕事で家にいなかったからです。いつしか社会人になったトニー滝谷は、イラストレーターとして生計を立てるようになりました。給料は悪くありませんでした。彼はなによりも、無機質な機械の絵を描くのが得意でした。

 そんな生活の中、クライアントの女性を見初め、トニー滝谷は結婚することになりました。こうして、トニー滝谷は人生の孤独な時期を終えます。彼女は、配偶者として申し分ありませんでした。2人の生活に影を落とすものは、何一つありませんでした。ただ、彼女には数えきれないほどの服を買ってしまうという癖がありました。最初はそれを受け入れていたトニー滝谷ですが、彼女が購入する服のあまりの量に、そんなにたくさんの服を買う必要があるのだろうかと疑問に思うようになります。妻は、わかってはいるけど、買わずにはいられないのと、肩を落とします。

 ある日、妻は膨大な量の服を残して、唐突に亡くなってしまいます。まるで妻の影のようなたくさんの衣類に囲まれ、トニー滝谷は茫然となります。そしてトニーは、妻の体形にぴったりの女性を探すようになりました。妻を失ったことに慣れるための時間が欲しかったのです。ただ妻の残した服を、毎日自由に着て、身の回りの仕事をしてくれるだけでいい。トニー滝谷は、彼女に1週間分の妻の衣服を自由に選ばせ、家に持ち帰らせました。

 やがてトニー滝谷は、妻の衣類が、心の負担になっていることを感じました。持ち主を失って、ただ朽ちていく膨大な衣類たち。ついにトニーは、それらをすべて古着屋に売ってしまい、雇用した女性には、その1週間分の衣類は差し上げるので、私の依頼のことは、全て忘れてもらいたい、誰にも言わないでほしいと伝えます。

 そうこうしているうちに、唯一の肉親である省三郎も亡くなってしまいます。そして、親父が使っていたトロンボーンと、膨大なレコードだけが残りました。しばらくは、それらを妻の衣類をしまっていた部屋に保管しておきました。しかし、それらの遺品が次第に心の重荷になっていくことを感じたトニー滝谷は、結局全てを売ってしまいます。貴重なレコードが多かったので、いい金になりましたが、トニー滝谷にとってはどうでもいいことでした。そして、トニー滝谷は今度こそ完全に、ひとりぼっちになってしまうのでした。 

 こんなあらすじの映画です。何それ、どこにクライマックスがあるのと言いたくなる人もいるかもしれませんが、一般的な起承転結のあるストーリーの映画と比較して、形容しがたいモヤモヤとした感情が、心の中いっぱいに残ります。まるで言葉にならない膨大な感情が、言葉にならないまま、言葉にしてくれと言わんばかりに胸のなかにあふれるような感じです。

 テーマは「孤独」といったところでしょうか。あるいは「人との繋がり」といってもいいかもしれません。まあ、観た人の数だけ解釈はあるでしょう。幼少期のトニーは確かに孤独でしたが、最後のトニーはさらに孤独になっているように私は思いました。そもそも、幼少期のトニーは孤独だったのか。それは、誰かと繋がってしまったからではないかなと感じています。

 誰とも繋がっていなければ、そもそも人はそんなに孤独でもないのではないでしょうか。そして、人は誰かと関りを持つようになりますが、その関係が永遠に続くことはありません。どんな関係も、いつかは終わりを迎えます。そして、終わったからといって、全て「さようなら」というわけにはいきません。たくさんの思い、繋がりの記憶が心に残っています。それが妻の残した膨大な衣類に表象されていたように思います。

 トニー滝谷は、それらを妻と似た体形の女性に着てもらおうとしますが、それでも孤独が癒されることはありませんでした。考えてみれば、私たちも、形は違えど、そのような行為に覚えがないわけではありません。満たされない思いを、形を変えて満たそうとするのは、だれもが無意識でやっていることなのかもしれないと思います。代償行為とでもいえばよいのでしょうか。

 何かを失い、打ちひしがれても、それでもいつかは、トニーのように全ての服を売って、部屋を空け、思いが薄れていく日々を体験することになります。とてつもない喪失感です。ある人にとっては、癒しと呼べるのかもしれません。そうやって、いつかは自分も含めて、誰もに終わりがやってきて、繋がりは絶たれていくのでしょう。そういった暗喩を感じました。ではそもそも、人間の営為って何なのだろうと言いたくなります。生まれて、繋がって、繋がりが綻びてゆき、最後は亡くなって、全てが終わるという。そこに私たちはいろんな意味を与えて人生に色彩を加えようとするわけですが、他方でそれらの事実はいつも変わらず、私たちの視界の外でひっそりと息づいています。そういった事実を、どこかで意識して生きるか、それとも、知らないふりをして、あるいはそんなことを考えることもなく生きてゆくのか。

 少なくともこの映画は、普段意識せずに生きている世界に、そういった事実があるんだよと、後ろからハッと肩に手を置かれるような、そんな気持ちにさせてくれる映画でした。村上春樹原作の「トニー滝谷」は、彼の短編集である「レキシントンの幽霊」に編綴されていますが、あの乾いた文体でこうした深みに到達できるのは、尋常じゃないと改めて感じさせられました。

現在のポートフォリオ

 仕事が忙しかったので、しばらく更新できずにいました。

 さて、現在のポートフォリオについて公開します。

 

SBI :200株/585400円

楽天  :300株/240660円

AAPL:100株/21800ドル

AMZN:10株 /18920ドル

IVV :15株 /4335ドル

KO  :300株/13800ドル

VOO :165株/43230ドル

 

 日本株SBIホールディングスと楽天です。楽天は株価を下げていますが、まだ地力が期待できる企業だと思っています。

 あとは米国株。AAPLは正直ちょっと微妙だと今になって思っています。

金融緩和でもインフレにならない理由

異次元緩和でも日本にインフレが起こらない極めてシンプルな事情(大原 浩) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)

 日本銀行の黒田総裁によって2013年4月から導入されたいわゆる「異次元」金融緩和政策。まさに「異次元」の金融緩和政策が続いているが、いまだにささやかな2%の物価上昇でさえ実現できていない。

 しかも、7月31日の金融政策決定会合で「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を決めている。つまり、これからもさらに金融緩和を続けなければならないため、長期金利の変動をある程度認めて緩和の副作用に配慮するということである。

 このような日銀(黒田氏)の政策は経済学で一般的な「資金を大量に供給すれば物価が上昇する」という理論に基づいている。しかし本当にその理論は(いつも)正しいのか?

 極端に単純化して、この世の中に100本の缶ビールと1万円しか存在しないとする。その世界で、超金融緩和を行い通貨供給量を倍増して2万円にしたとする。これはとてつもない金融緩和で、マネーの価値は半分(物価は100%上昇する)になるというのがこの理論の示すところだが、大事なものが欠けている。

 缶ビールの供給は増えないという前提だが、実際には缶ビールの価格が上昇すれば当然生産も増える。通貨供給を2倍にしても、商品の供給が2倍になれば(理論的には)物価は上昇しない。それが現実の経済である。

 さらに言えば、50メートルプールから水をあふれさせるには、相当量の水を供給しなければならないが、プールへの水の供給を止めるには水道の蛇口を締めるだけでよい。

 金利において、「高騰させるのは簡単だが低下させるのは難しい」ということを説明するのにこの「水道理論」が良く使われる。

 いくら大量の資金供給を行っても、その供給によって増えた資金の保有者はいつでも自由に使える(使わなくても良い)ので、なかなか政策当局の思い通りの効果が出ない。

 ところが、資金の供給を止めると、資金の調達(借り手)側は不渡りなどを出すわけにはいかないから、背に腹を替えることができず、かなりの高金利でも涙を飲んで借りるので、あっという間に金利が高騰するのだ。

 この蛇口を止める現象は年末・年始、期末・期初の資金繁忙期には(ミクロ的に)頻繁に起こり、年率で数百%というとてつもない金利になることもある。 

  アベノミクスの「第1の矢」として、金融緩和により流通するお金の量を増やしてデフレマインドを払拭すると首相官邸サイトにありますが、異次元の金融緩和がデフレ脱却、ひいてはインフレに繋がらない理由は、金融緩和に対する市場の論理にあるようです。

 確かに、かぼちゃの馬車騒動に象徴されるように、多くのプレイヤーが参入することにより、不動産市場は高騰しました。この理由は明白です。お金がたくさん市場に出回るのに対して、買える不動産の数は変わらないからです。そうなれば、当然売り手としては、買い手が増えているわけですから、ちょっと高い値段で売ってやろうと考えます。買うことのできる不動産の数は限定されているため、当然の帰結として、不動産価格は高騰しました。

 これに対して、企業としては、モノを売れるだけ売りたいわけです。アマゾンやユニクロなど、現代のあらゆる産業はそうですが、生産コストを極限にまで圧縮し、安い値段で大量の消費者を相手にして、その分野のシェアを独占してやろうという方向に動いているわけです。この場合、買い手も増えますが、売り手のほうもガンガンと生産を挙げていくため、モノの値段は一向に上がらないということになります。

 このような供給過剰の世界で、いくら資金を供給しても物価が上昇しないのはある意味当然かもしれない。

 パウエルFRB議長が金利引き上げを2019年で打ち止めにする意向を表明した後、さらにトランプ大統領が「金利引き上げは望ましく無い」と述べたが、このような供給過剰社会で金利の引き上げは困難であり、それは欧州においても同様である。

 デフレ経済のきっかけは、1990年の日本のバブル崩壊であったかもしれないが、今や世界中がデフレ体質になっており、日本もその「グローバルデフレ経済」から抜け出すことはできないのだ。

 先に述べたように、世界大戦級の大規模な戦争が供給過剰を解消してきたが、1945年以来、「過剰在庫」が世界中に積み上がっている。これを悲惨な戦争以外の手段で解消できるかどうかが世界に与えられた課題である。

 最近「米中貿易戦争」が騒がれている。トランプ大統領がどの程度世界経済の仕組みを「理論的」に理解しているのかは明らかではないが、政治経験を全く持たないが倒産を4回も経験した稀有なビジネス界出身の指導者は、世界中のどのようなリーダーよりも経済の本質を「直感的」に理解しているように思える。

 優秀なブレインのサポートがあったにせよ、「供給過剰の総本山である中国」に「貿易戦争」を仕掛ける最終判断を行ったのはトランプ氏である。

 もっとも、このような「荒技」で国内への「供給過剰」を抑え込めるのは、「嫌なら中国全土を焼野原にして過剰供給をストップするぞ!」という脅しをかけることができる米国だけの特権である。

 世界的に広がるデフレを根本的に食い止めるには、「過剰供給元への焦土作戦」しかないが、我々がそのようなことを論じても仕方が無い。トランプ氏が手元のボタンを押すかどうかにかかっていることになるが、現実的ではあるまい。

 デフレは、社会の生産性が向上する限り、当然の帰結だと思っています。かつては200数メガバイトだったフラッシュメモリも、今では何10ギガという性能になりました。その前はCDでしたし、さらにその前はフロッピーディスクだったことを思うと、隔世の感があります。これは一例ですが、こんな具合に説明できる「社会の生産性向上」の話が、世界の至る所であります。これは、かつての人類の夢でした。しかし今、社会の生産性が向上したことによるデフレは今、悪者として叩かれています。

 本当にこれ、悪いことなのでしょうか。私は本質的にはいいことだと思っています。きっと昔の人は、生産性の向上により、人間はもう働かなくてもいいじゃんという風に未来を夢想していたと思うのですが、現実には、安い賃金でロボットみたいに働かされている。問題はここだと思っています。

ホーキングが遺した警告「富を再分配しなければ人類は貧乏になる」 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 ホーキングは2015年、米ニュースサイト「レディット」のイベントで、技術革新に伴って人々の経済格差が拡大するのを食い止める唯一の方法は、富の再分配だと述べていた。ホーキングの死後、ネットで多くのユーザーがその言葉をシェアしている。

 レディットのユーザーはホーキングにこう聞いた。「技術革新で人間が仕事を奪われる可能性はあるか。自動化すれば人間より速く安く仕事ができるので、大量失業につながるのではないか」

 それに対してホーキングはこう答えた。「ロボットが必要なものを全て生産するようになれば、富の分配をどうするかによって結果は大きく違ってくる」

 「もしロボットが生み出す富を皆で分け合えば、全員が贅沢な暮しをできるようになる。逆に、ロボットの所有者が富の再分配に反対して政治家を動かせば、大半の人が惨めで貧しい生活を送ることになる。今のところ後者の傾向が強い。技術革新で富の不平等は拡大する一方だ」

 人類が行き着く先は、最終的には最低限の賃金が保証されるベーシックインカムなのではないかなと思ってます。もしロボットが人間に置き換わるならば、人間に代わってロボットが働いた対価は、そのロボットの一部の持ち主ではなく、置き換わった人間に還元されなければ、たぶん未来は暗いんじゃないですかね。

今後の「円安」リスク

 トルコの人達は、最近のトルコリラ暴落を受けて、外貨預金をせっせと進めているようです。なぜなら、トルコリラへの「信用が下がっているからです。既に下がっている状態で、さらに外貨預金をしようと考えるということは、まだ下がるかもしれないという不安があるのでしょう。 

 他方で、日本では「円高」というと、あまり良いイメージはありません。なぜなら、日本企業が外国に製品を輸出するときに、高くて買ってもらえず、輸出企業の不振が日経平均に影響するため、景気が悪くなると考えられているためです。もっとも、円高になれば、外国から材料を安く仕入れることができるので、日本で製造する分には、原料コストが安くなって良いという側面もあるため、円高が悪いと即断してしまうのはどうかと思っています。 

 むしろ、日本の本当のリスクは「円安」ではないかと思っています。日本には資源がほとんどありませんので、石油であったり、工業製品の材料であったり、石油だったりを輸入に頼っています。なので、円安になってしまうと、それらを高値で買わないといけないため、苦しくなります。 

 そして、今は円高ですが、日本は少子高齢化に向かっていますし、来年には消費増税を控え、さらに財政についても赤字国債を発行し、将来へのツケを回しながら運営していることから、将来的には「円安」になるのではないかと思っています。 

 「円安」になると、通貨の価値が下がるわけですから、例えば食べ物を輸入するにしても、仕入れ値が高くなります。食費もかさむことでしょう。今、日銀はインフレに誘導するために量的緩和を継続していますが、将来的には勝手にインフレになるのではないかと思っています。 

 インフレになると、お金を円で持っているだけで、価値が下がります。日本では、戦前に今の100万円程度の価値があった100円が、戦後、まさしく100円の価値になりました。戦前、100万円の価値のあった100円で、何か価値のある「金」のようなものでも買って持っていたら良かったということになりますが。 

 今、多くの日本人がタンス預金をしていますが、持っているだけで、その価値が下がるというのは悲しいことです。なので、日本円での預金のいくらかは、ドル等の外貨預金に回してもいいのではないでしょうか。 

f:id:kenchom:20180817103542j:plain

  ただし、銀行の外貨預金は預金保護ペイオフ)されないというリスクがあります。したがって、外貨預金は、証券口座に移しておくのが良いと思っています。証券会社には、お客さんから預かったお金と会社のお金を分離して管理する分別管理制度が義務付けられているためです。ただし、証券口座には金利がつかないので、そうしたデメリットは飲まなければいけませんが。

金相場について

 金相場について。

 米中貿易戦争が昨今話題に上ることが多いので、安全資産といわれる「金」について。「金」は有事において強いです。たぶん世界中、どこへ行っても「金」は高値で取引することができます。希少性が高いからです。 

 他方、国が滅べば紙幣は紙くずです。マネーレス化していても、それは同じ。通貨は信用で成り立っているからです。なので、今トルコの通貨であるリラが暴落しているということで、トルコの人にとっては、ある日、手持ちの1000万リラが、何もしていないのに500万リラになるといった衝撃があるわけです。悲しすぎ。  

 でも、ここでトルコの人が、自分の資産を「金」で保有していたとするとどうでしょう。リラが暴落しようが、へっちゃらなわけです。別に外貨でもいいです。ドルでもいいし、ユーロでもいい。もっとも、ユーロはリラに引きずられて下げてますが。ともかく、リラではなく別の通貨で資産を持っていれば、暴落もなんのそのです。 

f:id:kenchom:20180816200224j:plain

  そんなこんなで、困ったときに世界の人が買う通貨が、円です。イチバン暴落しなさそうな通貨ということで、買われるわけですね。ちょっと世界が不況になると、すぐに円高になります。日本にいると、私たちの持っている円が安全資産であるとか、そうでないのかとか、そもそも生まれてから円の信用が崩れたことがないという人が大半ですので、そのあたりの感覚に疎くなってしまいますが、そういうものです。 

 じゃあ、世界中が一斉に不況になったらどうなるでしょうか。円もドルもです。そうなると、やはり「金」に流れるわけです。そして「金」はドルで決済されるため、ドルの信用に大きく影響されます。 

 つまり、ドル高になれば「金」相場は下がり、ドル安になると「金」相場は上がります。他方で、ドルで決済される金相場とは別に、日本円で取引される金相場においても同様に、円安になれば「金」相場が上がり、円高になれば「金」相場が下がることになります。

  2013年から15年の間は、世界の「金」相場はドル高にともなって下がっていましたが、日本ではアベノミクスによる金融緩和政策により円安となり「金」相場が上がりました。18年8月16日現在、リラ暴落の影響で円が買われ、円高となっているため日本の「金」相場は下落傾向にあります。

  そんな中で、先日私は特に考えもせずに金ETFに投資してしまったわけですが、ちょっと調べたら上記のような結論に至り、すぐに売りました。食事2回分損してしまいましたね。 

 もっとも、円高であるということは、ドル建ての「金」を安く買えるというメリットもありますので、これからドル相場で「金」が上がるという見積もりが立てば、購入してみるのも手なのかと思います。